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柳の下の

以下は、先日あった、個人的に物凄く悲しかった出来事。


盛夏の頃は、至極当然、和装も盛夏仕様になる。
だけれども、昨今の気候では、目一杯夏仕様の和装をしても、汗塗れになるのが目に見えているので、正直、正絹の着物は袖を通すのを惜しんでしまう。
夏は、洗濯機に突っ込んで自力で洗える、化繊の着物がいい。
仕立て上がっている吊るしの化繊なら、頑張って探せば、一万円前後で手に入るので、まあ、お手頃っちゃお手頃だし。
あくまでも、普段着として、ってな前提が付くけれども。

という訳で、先日、化繊の着物を見繕いに行った。
うろうろ探し歩いたら、薄紫色の、桔梗の柄が描かれている、普段着としては一寸いい感じのブツを発見、サイズも、表示を見た限りでは、ワタクシに程良かった。
なので、お店の人の頼んで、袖を通させて貰った。
でも。
簡単に着付けて姿見を覗き込んでみたら、こう……何と言うか……、ゾロっとした柳の下に、ゾロっと立っている幽霊が映っている、としか思えなかった。
もう少し良く言っても、怪談・牡丹灯籠の、お露さんのよーな幽霊にしか見えなかった。
なので。
徐に、脱いだ着物を簡単に畳み、「如何がですか〜?」と朗らかに尋ねてきた店員さんにそっと返却して、「もう一寸考えます」とだけ言い残し、そそくさ、呉服屋から逃走してみた。

…………後日、この話を友人にした処、目に浮かぶ、と大爆笑されたけれど、個人的には悲しかったんだよぅ。
ほんっっとに、我ながら、柳の下の幽霊にしか見えなかったんだ……。
 

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