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物欲の下町

ちょろりと都心へ出掛けてきた。
まあ、色々で。
んで以て、上野も行った。
何をしに、って、ワタクシの煩悩──正しくは物欲を満たす為に。

上野は不忍池の直ぐ近くに、道明、という組紐のお店がある。
江戸中期創業の老舗。
こちらの帯締めは、大変に具合が良いと評判で、以前から抱えていた、道明の帯締めが欲しい、との物欲を炸裂させる為に訪ねてきた。
帯締めを収めた複数の整理箱と、幾本かの帯締めが飾られている棚がある小上がりのみの、そういう意味では小さなお店なのだけれども、小上がりの右から左まで、ずらりと、まるでグラデーションを描いてるみたいに何十色のも色とりどりの帯締めが並んでいて、赤なら赤で、濃色な赤から淡色な赤まで、青なら青で、濃色な青から淡色な青まで、といった具合で、それはもう壮観。
思わず、口開いた(笑)。
あれは、素晴らしき目の保養だと思う。
という訳で。
そんな、買わずとも一見の価値がある道明さんで、出して下さったお茶と干菓子を頂きつつ、お店の方に、これこれこういう訳で、こういう帯締めが欲しい、と伝えて、お薦めを見せて頂いて、目移りしつつ、唐組の、白地に茶系の菱形模様が飛び飛びに、ってな感じのを包んで貰った。
多分、己のみで選んだら、絶対に買わない柄。
でも、お店の方が、「一番出ている柄」と言われていただけあって、何にでも合いそうだし、大変素敵。
来週、締めるのが楽しみ。

──で。
上野は不忍池の直ぐ近くには、十三や櫛店、という柘植櫛のお店もある。
こちらも、江戸中期創業の老舗。
十三やの柘植櫛も大変有名だし、やはり一本は本柘植の櫛が欲しいなー、と、物欲その2を炸裂させる為に訪ねた。
ちゃんとお手入れしつつ使えば、柘植の櫛は一生ものだから。
こちらもこちらで、椅子が一寸並んでるだけの三和土と、品物が並んでて、且つ、職人さん方がお仕事されてる小上がりがあるのみの、そういう意味では小さなお店。
だけれども、とてもしっかりしている(という表現が正しいのかどうかは一寸自信ないけれど)櫛や、綺麗な簪が幾つもあって、うっとりする。
てな訳で、十三やさんでは、髪の長さはどれくらいか、量は多いか少ないか、絡まり易いか易くないか、なんてことをお話しながら、ならこの辺が、と見せて頂いたのを、自分使い&自宅用として包んで頂いてきた。
選んでいた際には、恐らくお店のご主人だろうおじ様に、櫛の正しい持ち方はこうで、とか、髪はこういう風に梳くのが正しいんだよ、とか、色々教えて頂いた。
ある程度重たい方が使い易い、みたいなお話とかも。
家に帰ってきてから一寸使ってみたけど、少し梳いただけで、素人な私でもはっきり違いが判るくらい素晴らしい。
直ぐに髪が落ち着く。更にはしっとりする。
これから毎日、大事に使うんだ。

それにしても、下町という所は物欲が炸裂する場所だわね。
危険、危険。お財布的に危険。

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